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大野地球科学研究会は化石やお天気または星が好きな仲間が造った同好会です。

SINCE:  2001年1月1日

UPDATE: 2016年10月8日


4. 動 植 物 に 関 す る も の

 これまでにいくつかの諺をみてきましたが、それらはすべて科学的に何らかの根拠をもち、裏付けがありました。 したがって利用価値もあり、また十分利用し得るものでした。次には、動植物に関する諺をいくつかみていくことにしますが、 これらの諺には、今までのように科学的裏付けのされるものはほとんどないと言えます。 一般に『雨蛙がなくと雨』など、動物を利用した諺がよく言われていますが、それらの証明となるとはなはだむづかしいようです。 動植物に関する諺が生まれてきた背景としては、動植物の習性をとりあげているようです。 現在では、まだこの習性を科学的に説明し切れないため、その諺が信用できるものかどうか決めかねるのが現状のようです。 理屈の上から説明できるものもありますが、心細い限りでしょう。また、現象の予想ではなく、その現象がすでに起ったために、 今そうなった。というのもみられるようです。例えば『野ねずみが人家に集まる時は大洪水の兆』などで、 雨が降り洪水になってきたため、野ねずみが人家に一集まるわけで予想とは言えないものです。
 動植物に関する諺では、人がよく目にする生物が使われており、動物では蛙・つぼめ・とびなど、植物では、 そば・麦などが主なもののようです。

『雨蛙が嶋くと雨』
 蛙は皮膚呼吸で皮崩はたえず湿っており、皮膚が乾けば死んでしまいます。このため蛙は湿った環境を好み、 晴天の日には水の中にいることが多いわけです。しかし湿度の高い日には、水中から出て勁きまわるようになり、 その鳴き声を間く機会が多くなります。空気の湿度が高くなれば当然雨の可能性があり、雨を予想することができます。 しかし、一応理屈的に解釈することができても、その科学的根拠はほとんどないといえるようです。

『つぼめが低く飛べば雨』
 つぼめに限らず鳥は、小さい虫を餌にするため空中を飛びまわっています。この餌となる小さい虫は、 晴れている時は空高く飛んでいますが、湿度が高くなると地上近くを飛ぶようになり、物陰などに身を隠して雨を防ぐと考えられます。 そこで、この小さい虫を追って、つぼめも低空を飛ぶようになると解釈できます。また、湿度が高くなると地上の昆虫の動きも活発になり、 これをねらって低空を飛ぶようになります。このように空気中の湿度が予測できます。

『と(ん)びが高く飛べば風』
 暴風雨の原因となる低気圧が接近すれば、地上はさほど風が強くなくても上空ではかなり強い風が吹いています。 このため、風を利用して飛びまわると(ん)びは、その習性からこれらの風にのって飛ぶため、自然と高い所を旋回するようになります。 したがって、とびが高い所を飛んでいる時ほど、暴風雨の可能性があるということができます。

『つぼめが早く帰る年は大雪』
 暖を求めて渡ってきたつぼめが、早く帰るということは、その地方が早く寒くなってきた証拠といえます。 早く大陸の高気圧が発達し冬型の気圧配置になったためで、このような年には根雪に入る時期も早いと考えられます。 このため冬の期間が長く、雪の多い年になると予測することができます。

『麦の発芽早ければ大雪の兆』
 麦の発芽が早いときは季節の進みも平年より早く、このため早く芽が出たと考えられます。季節の進みが早い年は、 大陸の高気圧も早く発達したとみることができます。大陸高気圧の発達の早い年は冬に入る時期も早く、長い冬が予想でき、 雪も多くなると解釈することができます。

『そばのたけ高きは大雪の兆』
 作物は雪にうずもれないように、たけが高くならなければならない。というような感じから生まれた諺のようです。 しかし、細くたけが高くなるのは、そばの成長期に雨が多く降った影響のようです。雨の多い年には雪も多くなることがあり、 全くでたらめとも言えませんが、その解釈にはかなり無理な面もあるようです。

『かぼちゃのつる多い年は大風多し』
 植物があらかじめ先を予想してそれに備えているようにみられますが、植物にそのような予想する力があるとは考えられません。 かぼちゃのつるが多くなったのは、その成長期に強風を受け、槙物体自体が影響を受げたために、つるを多くつけるようになったと考えられます。 したがって予想というのではなく、結果をしめしていると解釈できます。無理に理屈づければ、今まで強風が多かったのだから、 これからも多いのではないかと考えられますが、科学的根拠は少なく信頼性は簿いようです。

『ハコベの花がとじると雨』
 ハコベは春の七草としてよく知られています。小さな白い花をたくさんつけるこの植物に、雨を予測する力があるかどうかについては、 はなはだ疑問で、今のところ科学的証明はなされていないようです。五枚のがくをもったこの小さな花が雨を予測するとしたら、 その生理作用において、花が何らかの形で湿度を感じ、雨から身を守る働きをすると考えられます。解釈づければこのようになりますが、 現在ではまだ正しい根拠がなく推測の域を出ていないようです。しかし、この諺が全国的にみられることから考えれば、 ある程度の信頼性があるだろうことは認めざるをえないようです。

◎その他  『魚が水面に出てパクパクしていれば雨が近い』
      『蜂や鳥の巣が物陰にあれば大風の兆』
      『ネコが手をしきりになめて、顔をこすると雨』
      『蟻が巣をかえるのは大雨の兆』
      『モズが高い所にカエルや虫をさしておくのは大雪の兆』

 ここには動植物に関するもので、全国的にみられるものをあげましたが、これらの諺の科学的根拠は全くないと言ってもいいかもしれません。 だからといって、全く当らないと決めてしまうのも気がひけるようです。植物に関するものについては、動物以上で、 信頼性については心細いと言うほかありません。無理に解釈ができないことはありませんが、これら動植物に関する諺についてだけみれば、 テレビ・ラジオ等の天気予報のほうが当ると言えるかもしれません。

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