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大野地球科学研究会は化石やお天気または星が好きな仲間が造った同好会です。

SINCE:  2001年1月1日

UPDATE: 2016年10月8日


3. 雨・霧・雲 な ど に 関 す る も の

 雲の種類・形は気象現象に大きく左右されるため、その時の雲の状態から、気象状態をだいたいつかむことができます。 このため、雲に関する諺は特にたくさんみられるようです。さらに、これらの諺は比較的よく使われ、 全くのまゆつばものというのはないようで、確率の高いものが多いと言えるでしょう。

『朝雨は女の腕まくり』
 朝の雨は日が上がる頃にはやむからたいしたことがない。という意味で、この諺は海岸地方で特によく使われ、 また当る率もいいようです。この諺は陸風と海風の関係からいわれるもので、性質の違った2つの空気の接触により不連続面を形成し、 雨を降らせるわけです。しかし、日が昇り、大気全体の温度が等しくなると、この不連続面も消えて雨があがり晴れてきます。 海岸地方の海陸風のみに適応されるわけでもなく、内陸の山風・谷風のあるところでも同じような現象がみられるようですが、 海岸地方ほど顕著ではないようです。

『朝霧あれば晴れ』
 霧の発生については種々の要因がありますが、一般に空気の冷却によって発生すると考えられます。 地形によっても発生の様子は違いますが、内陸での場合を考えれば、晴天無風時の早朝によくみられます。 これは晴天無風の夜に地面が冷却し、これに接触している空気も冷えて霧を発生させるわけです。 この場合、大気安定の晴天無風の気象状態ですから、今後しばらくはこのまま天気が続くと考えられます。 しかし、前にも書いたように霧の発生には種々の要因があるため、晴れと断定することはできないようです。 霧が温暖前線の前面にあらわれるときもあり、地方によって『朝霧は雨の兆』とあるのもこのためと考えられます。

『雲脚はやければ大風の兆』
 暴風雨を伴った低気圧が近づいてくると、地上ではさほど風がないのに、上空の雲の動きの非常に速いのがみられます。 これは、低気圧の中心に周囲からかなり強い風が吹いている証拠といえます。したがって、上空の雲の動きの速いときは、 暴風雨を伴った低気圧の接近を示しており、しだいに地上でも風が強くなってきて暴風雨になることが予想できます。 このように雲から暴風雨を予測する諺は、科孚的にみても正しいものが多いようです。

『上層の雲と下層の雲が相反して飛ぶのは暴風雨の兆』
 熱帯低気圧の構造を考えてみると、下層では低気圧の中心に向かって空気が流れ込み、上層ではこの空気が周囲に吹き出されます。 このため下層と上層で雲の勣く方向か逆になるわけです。このような現象が見られるのは熱帯低気圧が接近したとぎで、 暴風雨を伴った台風の場合は特に顕著に見られるようです。


『南東風は嵐の兆』
『黒雲が北西にいくと暴風雨となる』
 風が南東、雲が北西に向かって飛ぶときは、低気圧とか台風が近づいている時といえます。前述の風の項にあげた 『南風は雨』というのも低気圧の接近による雨を示していますが、ここで特に南東風と細かく言っているのは、 この時の低気圧は普通以上の場合が多いことを意味していると考えられます。 したがって、黒雲が北西方向に飛ぶときは、暴風雨になる可能性があると言えるでしょう。 しかし、雲の動きはその土地の地形に少なからず影響されるため、日本全国に通用するとは言い切れないかもしれません。

『カギ状絹雲がでると強風が吹く』
『カナトコ雲がたつ時は暴風雨』
 絹(巻)雲は俗称「すじ雲」と呼ばれるもので、この雲は雲の中で最上層のものです。 この雲がカギ状になって端を糸を引いたようにのぱしているのは、強風の到来を示しています。 また、カナトコ雲もも同様に強い風の存在を示すものです。カナトコ雲は垂直に発達した雄大積雲の頂上部が、 強い風のため横に吹き流されているものです。その形が鍛治屋で使うカナトコに似ているところから、この名前がついています。 上層部の風は時間と共に地上にも吹くようになり、強風、暴風雨の予想ができます。

『レンズ雲が見られると風が強くなる』
 強い風が山を越したときに、気流が乱され乱気流を生じます。この乱れた気流の上昇部分で、 空気中に含まれていた水蒸気が凝結して雲を生じます。乱気流の上昇部の一部にできたこのような形の雲は大きく発達せず、 気流の乱れにはさまれたような形で形成されるため、レンズ状になって見えるわけです。この雲も上空の強風を示しており、 地上でも風が強くなってくる前兆といえます。

『高い山に笠雲がかかると雨』
 山に当った風は、その山膚に沿って吹き上がります。山頂付近まで吹き上げられた空気は冷却され、 空気中に合まれている水蒸気が凝結して、そこに雲を生じます。山を越えた風は山膚を吹き降りるにしたがって、 気温が高くなり雲は出来なくなります。このため、山頂付近に帽子をかぶったように雲が見られるわけです。 笠雲が見られるのは、風が強く吹いている時で、西方に低気圧があることを示しています。 この低気圧が接近するにつれて天気は悪くなり、雨となります。笠雲が見られてから24時間以内に雨が降る確率は、 6割強とかなり当ると考えられます。

『羽雲(絹雲)は雨の兆』
『羊雲(高積雲)は雨の兆』
『うねり雲(波状雲・層積雲)は雨の兆』
 これら3つの諺は、いずれも雲から雨を予測しています。これらの雲が現われるのは、普通、低気圧の前面で、このような雲が見られる時は低気圧か近づいている証拠と見ることかできます。 したがって、しだいに天気は悪くなり、雨が降りだしてくることが予測できるわけです。ただ、低気圧の接近の時にのみ、これらの雲が見られるというわけでもありませんから、 全面的に当るとは言えないようです。

低気圧の接近から雨になるまでの雲の変化は、絹雲・絹層雲→高積雲→高層雲→層積雲→乱層雲・積乱雲=雨となり、低気圧には必ずこれらの雲が伴なわれますから、 予測の目やすとしての利用価値は高いといえます。

◎その他  『太陽や月にかさがかかると天気が悪くなる』(光・音の項参照)

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