2. 風 に 関 す る も の
風向きはその土地の地形などにより影響を受けて場所によって異なります。ここでは、このような局地的な風ではなく、
気圧配置によって決まる大気の流れとしての風をとりあげることになります。
風は気圧の高いところから低いところに向かって吹くため、風向きから大体の気圧配置を知ることができます。
(バイス.パロットの法則※)例えば、冬には北または北西の風が吹きます。これは西方に高圧部があって、
気圧の低い東の方向に大気の流れがあることを示しており、冬の気圧配置、西高東低と一致することがわかります。
このように風向きによってその時の 気圧配置を知り、天気の予測が可能なわけです。
尚、諺のなかで、東西南北の各方向が言われていますが、諺が意味している方向は、東なら真東というわけではなく、
ある程度の範囲をもっていることに注意する必要があるようです。
したがって、東の風といっても、東寄りの風と解釈したほうがよく、極端に言えば、
南東風なども東寄りの風として扱われる場合があるようです。
【※暴風雨の中心は、北半球においては風を背にして立てば左斜め前方にある。という法則】
『煙が西へなびくと雨、東へなびくと晴れ』
北半球においては、低気圧のまわりに左まわりの風が吹きます。また、低気圧は西から東に移動します。
このため、低気圧が接近すれば東寄りの風が吹くようになり、煙は反対の西方になびきます。低気圧が通りすぎてしまうと、
風は西寄りに吹くようになり、煙は東方になびくようになります。したがって、西寄りの風が吹くようになることは、
天気が回復してくることを示していると言えます。外国にも同じことを言っている諺があります。
Winds blowing from the East
Bode no good for man or beast,
Winds blowing from the West
Please evergone the best.
『夏の南風は晴れ』(日本海側)
夏には太平洋高気圧が勢力を増し、南風がよく吹くようになります。
このため、太平洋側地方では湿気を含んだ大気の侵入によって雨となりますが、日本海側では、
湿気のない乾いた空気が中央山脈を越してくることになり、天気は晴れとなるわけです。
したがってこの諺は日本海側地方にのみ通用することになります。一方、大平洋側地方ではこれに対して、
『南風が吹くと雨が近い』などの諺となっています。冬は夏とは逆になり、日本海側では『北風は雪の兆』となり、
太平洋側では『北風吹けば、あすも晴れ』というように使われています。
『北風が南に変わると雨。南風が北に変わると晴れ。』
『南風は雨、北風は晴れ』
ともに南風は雨といっており、前述の諺と相反していることがわかります。しかし、この諺も前述のものも正しいものです。
前述の諺は解説でわかるように、気圧配置における大気の大きい流れを示しているのに対して、
この諺は低気圧に伴う風の向きを扱っているわけです。日本海を低気圧が通るとき、低気圧のもつ性質から、
始め南風が吹くようになります。低気圧が通りすぎるにつれて、風は北寄りの風に変わり、天気が回復してくるわけです。
注: 同じ低気圧の風について言っているものに『煙が西へなびくと雨、東へなびくと晴れ』と『南風は雨、北風は晴れ』
の2種類の諺があり、疑問に思われるかもしれませんが、この風向きについては観察者のいる場所と、
低気圧の左まわりの風との関係を考えてみれば、すぐ理解することができると思います。
このように、各諺のなかでの低気圧と風向きの関係は、観察者のいろ場所と低気圧の中心との関係によって変わることに注意が必要です。
『煙がまっすぐ立ち上がるは晴れ』
この諺はよく聞かれますが、意味している天気はこれから先の天気ではなく、今、現在の天気の状態を示していると言えます。
煙がまっすぐ上るのは、その地域が風もなく平穏であるためで、すでに高気圧におおわれているためと考えられます。 したがって、先の予測とは言えないかもしれません。
しかし、煙がまっすぐ立ち上がるように大気が安定しているときは、 その大気状態がしばらく続くことが考えられますから、晴れの天気が続くとも言えます。
ただ大気が平穏になるのは、 高気圧におおわれたとき以外にもみられるため、風の強さだけを頼りにして予測するのは、少し危険な感じも受けるようです。
◎その他 『南東風は嵐の兆』(雲の項参照)
『西風は日暮れまで』
「夏に海陸風が乱れるのは台風の兆」