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大野地球科学研究会は化石やお天気または星が好きな仲間が造った同好会です。

SINCE:  2001年1月1日

UPDATE: 2016年10月8日


4−1 昔 に な る ほ ど 記 憶 は 薄 ら ぐ

中生代よりもっと古い時代については、説明がさらに難しくなります。

これは人間の記憶を思い出してみても分かります。人間は昨日のことや一週間前のことはたいてい覚えていますし、一年くらい前のことでも主だったことは覚えています。 しかし10年前の出来事になると、それが10年前なのかあるいは15年なのかはっきりしなくなります。さらに30年も前のことになると「そんなことあったかな」という 程度になってしまいます。

同じようなことが地球の歴史にも当てはまります。

日本列島は、太古の昔になればなるほど地形も地層も原形をとどめていないため、環境の変化を示す証拠があまり残っていないのです。

この事を、いま大きな話題となっている恐竜の化石を例にとって考えてみましょう。

日本では、恐竜の断片的な化石をつなぎ合わせて、やっと全身骨格を復元している有様です。しかし世界に目を向けてみると、カナダやアメリカ合衆国などでは恐竜の 全身骨格化石がほぼ完全な姿で発見されています。どうしてこんなに違いがあるのでしょうか。

日本列島はプレ−トテクトニクス運動によって、いくつかのプレートの境目に造られました。そのためプレート運動の力を受け、列島全体が姿を変え続けています。

その結果日本列島の構造そのものが、時代の経過とともに複雑に変化してしまいました。

古い地層に埋まっている化石も、その上に火山灰が積もったり、マグマによって変性したり、地殻変動があったりで、ずっと変化にさらされてきたのです。その結果、 日本では当時の岩石や化石は見つかりにくく、中生代より以前の出来事は非常にわかりにくいのです。

勝山市で恐竜化石がまとまって発見されたことは、奇跡的といえるのかも知れません。

一方、カナダやアメリカ合衆国の大部分は北アメリカプレートの上にどっかりと乗っているため、恐竜が生きていた時代から現代に至るまで、ずっと安定した大陸なのです。 恐竜の化石を含んだ土砂が堆積したあとの時代になっても激しい地殻変動はなく、地層はあまり変化していません。

このため現代になって風化作用や、川の浸食作用で表面が削られて古い地層が表面に顔を出すと、全身骨格のような素晴らしい化石が採れる確率が高いのです。

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