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大野地球科学研究会は化石やお天気または星が好きな仲間が造った同好会です。

SINCE:  2001年1月1日

UPDATE: 2016年10月8日


2−1 荒 島 岳 は 火 山 で は な い

日本百名山に選ばれるほど見事な円錐型をした荒島岳は、その山容から推察すると火山が噴火した山のように思われます。下記の写真は冬の荒島岳です。

コンピューターグラフィックスで荒島岳を様々な角度から眺めて見ると、大野盆地から眺めた場合のみ、成層火山のような美しい形に見えることがわかります。


経ケ岳上空約2200メートルから眺めた荒島岳


大野市中島上空約2600メートルから眺めた荒島岳


九頭竜湖上空約3500メートルから眺めた荒島岳

さて、金沢大学の調査によれば、現在の荒島岳の真下からマグマが垂直に上昇してきた形跡がありませんでした。つまり、現在の荒島岳自身が噴火したのではなく、 どこかの火山が噴火してできた大きな山の一部が風化して 現在のような山容になっているにすぎないのだというのです。

詳しい内容は、金沢大学のホームペーシを参照していただきたいのですが、その内容を簡単に言いますと以下の通りです。

今から約2000万年前頃、勝原を中心とした直径15キロメートル程度の成層火山があった。その中心部が楕円形に陥没。それらも深く浸食され、 残った一部が現在の荒島岳である、というのです。

試しに、その成層火山がどれほどの大きさであったのか、平面図に落とし込んでみるとともに、写真上に、その想像の輪郭を描いてみました。

この写真は、大野市黒谷から撮った2枚の写真を合成したものです。この角度からですと、「古荒島岳」の高さは3000メートルぐらいです。

金沢大学のホームページの中でも触れられているように、日本のような多雨な気候では、火山が元の形をなくすのには、500万年程度しかかからないとのこと。 当然、荒島岳以外の山々の姿も、現在とは全く違うことが予想されます。

いずれにしても、こんな大きな山がすっかりなくなってしまうのですから、地質年代的な時の流れというのは、私たちの次元では考えられないような スケールの大きなものです。

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