4−3 日 本 最 古 の 岩 石
サンゴや三葉虫の時代は相当大昔の話ですが、それでも日本列島誕生の歴史と比べると最近の出来事にすぎません。その証拠が和泉村の谷戸口や五条方の発電所付近など、
大野盆地の南部に見られる先カンブリア時代の「飛騨片麻岩」と呼ばれる花崗岩を縞模様にしたような変成岩です。
飛騨片麻岩の「飛騨」というのは、主に飛騨地方で見られる岩石という理由からです。
変麻岩とは、変成岩の一種ですが、「変成岩」とは溶岩が流れてできた火成岩や、湖底に泥や砂が積もった堆積岩などが地下深くで高い圧力や高熱を受けて岩石の性質がまったく
変わってしまったものを言います。
「飛騨片麻岩」の変成を受ける前の状態の岩石を探してみると、あまり日本では見つかりません。しかしロシアの沿海州や朝鮮にたくさん見つかります。この岩石は、
日本海を無いものと考えて日本列島をアジア大陸にくっつけてみた場所に見つかっているのです。つまり「飛騨片麻岩」の由来は、日本がアジア大陸にくっついていた頃の 岩石だということになります。
約3000万年前ころに日本海ができ始め、日本列島が南に下がってきました。そのとき「飛騨片麻岩」に変成する前の原石もいっしょに南下してきたのです。「飛騨片麻岩」が変成作用を 受ける前の原石が堆積したのはおそらく20億年前と考えられ、先カンブリア時代となります。「飛騨片麻岩」は日本列島の骨格をつくっている最古の岩石と言ってもいいでしょう。