1−7 大 野 人 は み ん な 新 参 者
断層の話では、地質時代の長さというものが、日常感覚では計り知れないことを話しましたが、もう少しわかりやすく解説してみたいと思います。
地球が誕生してから現在まで、およそ45億年といわれていますが、月並みながら、これを一年間にたとえると、人類の存在など、とるに
足らないことがわかります。
45億年前の地球の誕生を1月1日午前零時として、現在を12月31日午後12時とすると、以下のような表が作れます。
およそ、人間に関わることは、12月31日のしかも、午後4時以降の話であることがわかります。
こんどは、大野盆地ができはじめた100万年前を1年間に置き直して考えてみると、次のような表ができます。
私たち大野人の祖先が大野盆地に住み始めたのが、なんと暮れも押し迫った12月28日のことです。それまでの長い間、大野盆地は無人の原生林が生い茂り、
時には、下荒井付近を中心に大湿地帯が広がっていたのでしょう。私たちは、本当は、大野という土地では「新参者」であるのかもしれません。
なお、佐開断層の研究を通じて、大野には、9000年前、4500年前、1500年前に大地震が起きたことがわかっています。大野人は、4500年前、
1500年前の地震は経験しているはずですが、いずれも、文字を使う以前の話ですから、記録には残りませんでした。
それにしても、前章で話した3000年に一度の頻度で起こる大地震というものは、この表に置き換えてみると、まる一年間の間、
1時間12分に一度の割合で 起きていた勘定になります。これを多いと考えるか少ないと考えるかは、個人の考え方のちがいですが、地質時代というものの長さをつくづく考えさせられも
しますし、地盤が比較的安定していると言われる大野でさえ、こんな頻度で地震が起きるのですから、日本という国は、本当に地殻変動の大きな国とも 考えられます。